水素燃料電池セパレーター試作|金属プレス加工技術で高精度・低コストを実現
近年、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが世界的に加速しています。再生可能エネルギーや水素エネルギーの活用が進む中、水素燃料電池技術はクリーンなエネルギー供給手段として注目されています。自動車や発電システムなど幅広い分野で実用化が進む中、燃料電池セパレーターはその性能を左右する重要な部品です。
当社では、長年培ってきた金型技術とプレス技術を活かし、金属製燃料電池セパレーターの試作に取り組んでいます。
水素燃料電池セパレーターとは
基本構造と役割
水素燃料電池セパレーター(バイポーラプレートとも呼ばれる)は、燃料電池スタックの中で各セル(単電池)を隔てる重要な構成部品です。一つの燃料電池スタックには数十枚から数百枚のセパレーターが使用され、以下の重要な役割を担っています。

1. 電気を流す道筋を作る
各セルで作られた電気を集めて、隣のセルに送る「電気の通り道」の役割。複数のセルをつなげることで、より強い電力を作り出すことができます。
2. ガスを正しく配る
燃料電池に必要な水素と酸素を、それぞれの正しい場所に運ぶ「配管」のような役割。表面の細かい溝を通って、ガスが均等に行き渡ります。
3. 水の管理をする
燃料電池が動くときに生まれる水を外に出したり、熱くなりすぎないように冷やしたりする「排水・冷却システム」の役割を果たします。
4. 構造を支える
薄くて壊れやすいセル同士を支え、燃料電池全体の形を保つ「骨組み」のような役割。車の振動などにも耐える強さが必要です。
5. ガス同士を混ぜない
水素と酸素が混ざらないように完全に分ける「壁」の役割。ガスが混ざると危険なので、しっかりと隔てる必要があります。
金属セパレーターの特徴
燃料電池セパレーターには主に「カーボン系」と「金属系」の2種類がありますが、金属セパレーターには以下の優位性があります。
- 薄型化が可能:ステンレスやチタン合金を使用することで、0.1mm以下の薄さを実現でき、燃料電池スタック全体の小型化に貢献
- 高い機械的強度:振動や衝撃に強く、特に車載用途で重要な耐久性を確保
- 量産性に優れる:プレス加工による大量生産が可能で、製造コストの削減に寄与
- 優れた熱伝導性:効率的な熱管理が可能
主な使用分野
燃料電池金属セパレーターは、以下のような幅広い分野で活用されています。
1. モビリティ分野
- 燃料電池自動車(FCV):次世代燃料電池乗用車
- 商用車:燃料電池バス、トラック、フォークリフト
- 鉄道車両:水素燃料電池列車
- 二輪車:燃料電池バイク、燃料電池電動アシスト自転車
2. 定置用電源
- 家庭用燃料電池:家庭用コージェネレーションシステム
- 産業用電源:データセンター、病院などの非常用電源
- 分散型発電:地域のマイクログリッド電源
3. 特殊用途
- 船舶:水素燃料電池船
- 航空機:ドローン、小型航空機の補助電源
- ポータブル電源:アウトドア用、災害時用の可搬型電源
燃料電池セパレーターの加工課題
製造上の課題
金属燃料電池セパレーターでは、薄板材への微細流路形成や寸法精度の確保が重要な技術課題となります。特に、板厚減少や反りの抑制、均一な成形再現性の確保は、設計性能に直結する要素です。
コスト面での課題
金属燃料電池セパレーターは、高精度な微細成形が求められるため、金型設計や加工条件の検討に時間とコストを要します。特に試作段階では、形状検証や条件調整を繰り返す必要があり、開発フェーズにおけるコスト負担が課題となる場合があります。
当社の技術的アプローチ
板厚均一性への取り組み
燃料電池セパレーターの性能を最大限に引き出すため、当社では板厚の均一性に重点を置いて取り組んでいます。板厚の不均一性は長期間の使用において応力の偏りを生み、金属疲労や腐食の原因となる可能性があります。特に、自動車用途や定置型燃料電池では長期間の安定稼働が求められるため、耐久性の確保が重要な要素となります。
薄肉素材でも板厚を均一に保つプレス加工技術
試作と加工条件の検証を重ね、板厚の均一性を確保する最適な加工方法を確立しました。
この技術により、燃料電池セパレーターの耐久性向上と長期安定性能の確保に貢献します。

株式会社鈴木の金属セパレーター試作
当社では、SUSを用いた金属セパレーターの試作を行っております。小型燃料電池用途や評価・検証用途における試作に対応しています。
対応材料
- SUS316L
その他の材料については、個別にご相談ください。
対応数量
- 100枚程度
対応サイズ
- 90mm×55mm程度
金属セパレーターの試作をご検討の際は、株式会社鈴木までお気軽にご相談ください。
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